一文字堂 ICHIMONJI-DOU

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無銘(尻懸)                   0010013
鑑定書 日刀保 特別保存      売却済
長さ 45.2cm  反り 1.13cm  穴 1 
薙刀直し  直刃  刀身重量 455g
時代 鎌倉時代後期(1288~) 国 大和(奈良県)  
元幅 30.6mm   元重 7.0mm 
白鞘入り。

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尻懸は五カ伝の大和伝、大和五流派の一つである。
鎌倉時代後期に大和東大寺の裏手で作刀を開始した。
すでにあった千手院派に続いて、同時期に尻懸、手搔派が成立する。寺派は違うが大麻派も同時期である。
これは鎌倉時代後期になると元寇の後遺症とも言うべき中小御家人の没落からくる荘園の横領や略奪・強奪が流行し
東大寺は総国分寺として全国との物資の流通、荘園も広範囲にあったのでそこからの物資の流通の護衛の必要から
急速に需要が拡大していったのであろう。

本刀は薙刀直しである。最初は薙刀として作られたものが茎を摺上げて脇差サイズに改められたものである。
後世になると初めから刀、脇差の茎で薙刀の姿に造る薙刀直し造りもあることから、人気のあった造り込である。
薙刀直しのなかでも鯰尾形といわれるもので、元幅よりも物打ち辺りの身幅のほうが広い。
薙刀直しは茎だけでなく、切っ先側の棟方も直されることがあるが、帽子の形状や棟にある誉れ傷からみて、先の方の棟は削り落とされていない、オリジナルのままだと思われる。

誉れ傷
刀の傷は数有れど、傷と名のつくもので褒められるものは切り込み傷だけで、これを誉れ傷という。
棟側の先寄りにあるものがそうで、切り込みに耐えた、頑丈なものであるということで古来武家に珍重された。

薙刀直し、庵棟。身幅広く、反りがつく。 鍛え板目に杢交じり、処々僅かに流れ、地沸つき、映り立つ。
刃紋 直刃に小互の目交じり、小足入り、小沸出来、湯走りかかる。 帽子 直に焼きつめ、掃きかけて、金筋かかる。
茎 大摺上げ。 鎺 金着せ二重鎺。

   



サビ・傷の状態
サビはありません。
傷は上の画像を参照で、(一般的な爪楊枝を隣に置きましたので大きさの参考にしてください。)
・物打ち辺りの棟側に打ち込み傷(誉れ傷)
・中ほど棟寄りに大肌。(これを傷とみるかは古刀も鎌倉後期のものと思えば個人の判断)
・鎺近くの棟寄りに大肌と削れたような跡。棟側から見ると小さな斜めの傷痕が2本あり、向きなどからみてこれも切り込み傷かと思われる。削れた様な跡はこの切り込まれた時についたのかも知れない。
他、細かいことをいえばキリがなかったり、各個人の判断だったりで難しいものがありますが、ピックアップした3箇所より目立つものはありません。
刃こぼれはありません。

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